没140字小説
「この前、怖い事があってさ」
「うん」
「仕事帰り、いつも俺の前を歩いてるOLがいるんだよ。でさ、毎晩『今帰りだお~』って彼氏に電話してるのね」
「微笑ましいじゃん」
「それが…よく見たらスマホがトップ画面のままでさ…通話相手なんていなかったんだよ…」
「怖がられてるのはお前の方だよ」
タイトル:【夜道の予防】
没理由の解説
前回(以下記事)のように「一般受けしないかもしれない」とか「読み手を選ぶかもしれない」という理由で没にしたならまだ格好がつくのですが、没作品の理由の9割は、単純にイマイチ面白いと思えなかったからです。あるいは「芸が無い(弱い)」とも言い換えられます。
上述の作品のネタは「後ろからついてくる男を警戒して、電話してるフリをする女性」という、よくある夜道の予防ネタです。
ですが、それは賛否両論の手法でもあります。
電話に夢中になってる相手はむしろ襲い易い、という意見があるからです。
確かに、電話相手だって、即座に駆けつけられるはずがありませんしね。
そこがまず、引っ掛かりポイントになって、素直に楽しめない人がいると思いました。
それと別に、「通話中のスマホの画面なんて、見えなくないか?」と引っ掛かってしまい、それがノイズになって楽しめない人も、ある程度の割合でいるかと想像します。
私は、すれ違いざまにチラリとスマホの端でも見えれば、トップ画面か否か程度はわかると思いましたが、ここも人を分かつポイントだと思いました。
加えて、最後の一文は、件の予防ネタを知らない人には、いまいち意味がわかり辛いと思いました(※察しの余地を残すべく、敢えてわかり辛くする事はしばしばなので、それ自体は間違いではないのですが…)
もしそれらの引っ掛かりポイントをクリアして、ネタの真意に辿り着いたとしても、そもそも、そんなに面白いネタでも無いと思いました。
とは言ってみたものの、ネタ(オチ)自体が面白くも珍しくも無いのは、実は大した問題では無いようです。
実際、私が今までで投稿した中で一番バズった140字小説のオチは、一度は誰もが聞いたことがあるような、実にあり触れたオチでした。
つまり、いかにそのネタ(オチ)を読者の方の心に突き刺す工夫を事前に凝らすかもまた、書き手の腕の見せ所のようです。
ですが、上述の没作品には、その工夫もイマイチだと感じました。
そのため、芸が弱いと判断し、今作は没にした次第です。
コメント
方丈さん、執筆お疲れ様です。
個人的にはすごくおもしろい140字小説だと思いましたよwww
お疲れ様です!
本当ですか!?
そう言っていただけると、ブログ内限定と言えど、公開した甲斐があります!
ありがとうございます☺