没140字小説と理由の解説【その①】

没140字小説

幾度もバズりを経験してわかった事がある。
誹謗中傷を言ってくる輩は、話してみると、意外と悪い奴ではないのだ。和解は、口論するより遥かに気分が良かった。
今日も、そうやってSNSで仲良くなった奴と飲みに行く。そして、乾杯と同時に、奴の顔に酒をぶっかけた。
「どう?俺も同じ気分だったよ」

タイトル:【罪と罰】

没理由の解説

コンセプトとしては、唐突に心にダメージを食らう事の理不尽さの再現、そして、言葉の暴力を振るった側が、なんの報いも受けないことへの不満の解消を込めた一作でした。

ですが、まず、読んで後味の良いものではありません。(※そういう作品も、大事だとは思いますが…)

しかも、「仲良くなった」とあるので、そんな相手に今更報復する事への、陰湿さも読み手に芽生える事と想像します。

それを避けたければ、和解などせず、悪は悪として最後まで描写することで、勧善懲悪の図式としスカッと出来たかもしれませんが、そうすると、誹謗中傷した輩に報復する機会の描写に悩みました。

「そいつの住所を特定して、ぶん殴ってやったぜ」なんて展開にしたところで、何の芸もありません。

それに、これくらいの不意打ちでないと、唐突に傷つけられる側が感じる理不尽さを、表現できないと思いました。

若干話は逸れるのですが、悪は悪、善は善、という0 or 100の考えが、個人的にあまり好みではありません。

現実を生きる人間は、そんなにシンプルではないはずです。

矛盾の塊のはずです。

非道な殺人鬼が、フランダースの犬を鑑賞して号泣してても、何もおかしくないはずです。

とは言え、そんな機微までを140字で表現するのは、今の私には力不足です。

話が逸れたので、戻します。

上述の作品に共感できる人は、あまりいないのでは?と思った事も、没理由にあります。

プライベートならまだしも、SNS上で、知らない人からいきなり言葉で殴られる経験なんて、普通はしませんよね。

私も、この作家アカウントを作る前までは、皆無でした。

没理由として、何より、この作品を通して「この作者は、よほどこういった経験をして、怒っているのだな」と、作者の心情を察し、私怨の発露であるとみなされ、引かれてしまう事を危惧しました。

私は、どちらかと言うと、自分の本音や感情を作品に込めたくないタイプですが、受け手はそんな事を知る由もありません。

以上をまとめると、

・作者の怒りを見越し、引かれるかもしれない。
・そもそも、読んで気持ちのいいものでもない。
・共感も、あまり呼べないかもしれない。

と考え、没にした次第です。

コメント

  1. 編波シン より:

    こんばんは。お疲れ様です。
    没作品、オチが不意打ちすぎて心臓が止まりかけました。
    めちゃくちゃ面白かったです。

    ただ、読み終わってコンマ何秒か後、本能から警告がありました。
    「この作品、不特定多数に見られたら曲解されるぞ」って。
    読み手なのに書き手目線になるのは変だけど、僕はそう思ってしまいました。

    だから、没になったのも納得できます。

    でも、せっかく作った作品を一番いい形で世に出せなかった悔しさもわかるので、代わりになるか分からないですけど、もう一度褒めさせてもらいます。

    今回の作品めちゃくちゃ面白いです

    • 方丈 海方丈 海 より:

      こんばんは、コメントありがとうございます!

      そのように言っていただけるなんて、物書き冥利につきます。
      没にしたまま消去せず、公開した甲斐がありました!

      やはり、人を選ぶかな、と思える作品の公開は勇気がいりますからね…。
      「気にせず全て公開して欲しい」という声もいただいた事があるので、この課題とは、腰を据えて向き合ってみたいと思います☺

      最後に改めて、お褒めいただき、ありがとうございました。

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