【バガボンド】宮本武蔵 VS 吉岡衆70人

※この記事には、バガボンド24~26巻あたりのネタバレを含みます。
この記事の読了時間目安:2,3分

たった一人で、何百何千の軍勢を蹴散らす超人的強さ。

その手のシーンは、漫画やアニメや映画に沢山存在します。

そんな中で、個人的に最も心に残っているのは、『スラムダンク』の作者、井上雄彦氏が描く『バガボンド』の、宮本武蔵 VS 吉岡衆70人の戦いです。

何百何千に比べれば「たった70人?」と思えるかもしれません。

ですが、この70人という数字には、ロマンが詰まっています。「本当に、こんな人間がいたのかもしれない」という強烈なリアリティが与えてくれるロマンです。

井上雄彦氏が描く宮本武蔵は、身体能力こそ確かに秀でていますが、目にも止まらぬ速度で動いたり、刀の一振りで何人もの敵や巨石や建物を真っ二つになんかしません。

指で相手の目を潰したり、股間を蹴り上げたり、相手を盾に使ったり、取っ組み合いになって転んだり、泥をぶつけ合ったり、兎にも角にも大変に泥臭いのです。

剣豪らしくありませんが、剣に拘らない極めて柔軟な戦い方は、とても宮本武蔵らしいと言えます。

そもそも刀は、人を数人斬ったら、その血と脂によって、切れ味は格段に落ちます。それを見越してか、宮本武蔵は、極力自分の刀を抜かず、倒した相手の刀を随時拾い、それを使いまわしていました。

刀はいくらでも転がっているので、時には躊躇なくそれを投擲し、相手が怯んだ一瞬の隙をついて残る片手に持った刀で切り伏せるなど、とても理に適った戦い方を繰り広げます。

そんな風に、乱戦の最中、常に型にはまる事なく最善手を、思考より体が選択する様はまさに〝融通無碍〟の境地。

身の回りの全てを師と見立て、剣の道に応用する術を常に模索し続けた宮本武蔵だからこそ至れる境地だという、強烈な説得力(リアリティ)があります。

宮本武蔵に立ち向かう吉岡衆70人も、烏合の衆ではありません。各々、大なり小なり、剣に人生を捧げ続けた70人です。

一人ずつ順番に向かって順番に斬られる接待のようなやられ方もしません。むしろ「絶対に一人で立ち向かうな!一斉にかかれ!」と何度も仲間内で念を押します。

槍や銃や弓が台頭し、剣の価値はどんどん下がる時代。さりとて剣以外の道を選べず、世間からは疎まれようとも、剣に生きる外無し。

そんな彼らが、一度は目指した理想を体現してくれた武蔵に、私怨とは別に、どこか感謝と尊敬の念を抱きながら挑み、そして散っていきます。個人的に、この関係性が、とてつもなく大好きです。

剣を誰より究めんとし、それによってその名を歴史に残した大剣豪、宮本武蔵。

普通、どんな屈強な人間でも、70人も同時に相手にしたら、現実的に考えて間違いなく死にます。

それでも宮本武蔵なら、たった一人で剣豪70人を返り討ちにするという、その偉業を本当に成し遂げたのではないかと思わせる説得力とロマンが、この一戦には詰まっていると思います。

そんな宮本武蔵の生涯を描く『バガボンド』。

もしよろしければ、この機会にぜひ、いかがでしょうか。

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