140字小説 Vol.37

「Youtuberで食べていけてるのかね?」
「はい、一応…」
「だが、収入に安定も保証も無いのだろう?」
「そうですね…」
「不安は無いのか?」
「もう慣れました…」
「話にならんな。もっと将来を見据え、危機感を持ったらどうだね?」
「すみません…」
「貯金はどの程度なんだ?」
「2億です」

タイトル:【人生の値段】


最近の写真加工アプリは凄い。なんでも出来る。
「昨日また彼氏とデート行ったの?」
「あ、insta見てくれた?」
「アンタ、加工し過ぎでしょ。目大きすぎ!彼氏も毎回同じキメ顔で笑っちゃうんだけど」
「ん?一人身の嫉妬かな??」
後日、その子の彼氏は亡くなっていた事を知った。
一年も前に。

タイトル:【コピペ彼氏】


車を降りて、急いで公衆便所に駆け込む紳士を見かけた。ドアは開けっ放しだし、キーもつけっ放しだ。よほど緊急だったのだろう。俺は遠慮なくその高級車を盗んだ。

しかし、すぐに信号無視で捕まった。
「これは盗難車だな?」
「…もう盗難届が出てたのか」
「もう?盗難届が出たのは、半年前だぞ」

タイトル:【ビニール傘感覚】


俺は転売屋ハンター。
今日も転売屋の住所を特定し、制裁を加える。

「転売屋がいなくなったら、俺達は食えねえだろ?」
先輩は続ける。
「そうなると、転売狩りのスキルを活かして、転売でも始めるしかねぇのさ」
「…じゃあ、俺達が今まで狩ってきたのは…」
先輩は何も言わず、煙草の火を消した。

タイトル:【終わらない業界】


地元を騒がせる墓荒らしの正体は、小5の男の子だった。
「なんと罰当たりな、祟られるぞ」
と多くの叱りを受けると、男の子は言った。
「祟られたかったんだ」
なぜ、と問うと、更にこう続けた。
「幽霊の存在を証明できたら、きっとまたお父さんに会えると思ったから」

タイトル:【墓を荒らす理由】


【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

講義室の机の中に、謎の履歴書が見つかった。
それは、自己PR欄の1行目のみ、『あ』で埋め尽くされていた。
余白には、32×10=320という、謎の数式。
それ以外は全て空白だった。
発狂した就活生による奇行か?
あるいは、何か明確な理由があるのか?
真相が判明したその時、〝彼〟は死を望んだ。

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