140字小説 Vol.2

「俺、彼女出来た」
「マジ!?」

昔ついた嘘を嘘と言えず、架空の彼女との関係は順調だと親友に3年間、報告し続けた。そして、遂に結婚する所まで来た。もはや嘘も限界だ。

「ごめん…彼女なんて実はいないんだ」
「…架空は、彼女だけか?」
「え?」
顔を上げると、親友の姿は何処にも無かった。

タイトル:【Virtual Reality】


「人は、生まれてすぐは動物でしかない」
「そうだな」
「人として生きていく中で、人に成っていくんだ」
「そうだな」
「同じように、打たれたばかりの刀では、まだ刀ではない」
「刀として使われて…初めて刀だと?」
「その通りだ!」

連続バラバラ殺人
刀匠 田町重義(42)容疑者の事情聴取より

タイトル:【親馬鹿】


不思議に思ってたんだ。
ジャムを作ってるところなんか一度も見てないのに、どうして彼は”ジャムおじさん”と呼ばれているのか。
「実は、奴は昔、傭兵だったんだ」
男は続けた。
「よく弾詰まり(ジャム)を起こしてしまうんで、仲間内でつけられた渾名だったんだ。案外、奴は気に入ってたのかもな」

タイトル:【ジャムおじさんの由来】


「ギガスラーッシュ!」
若い勇者が振るう無邪気なビニール傘は、電柱という現代に並び立つ魔物を捉え、無残にもその刀身は折れてしまった。その横顔は、母と言う魔王への怯えが見える。微笑ましく思いつつ、彼が去った後の電柱を見て我が目を疑った。そこには深く鋭い 一筋の切れ込みが刻まれていた。

タイトル:【小さな勇者】


帰ると玄関に見知らぬ靴があった。
私は恐怖した。まさか、例のストーカー?
警戒しながら進むと見知らぬ男が居間に立っていた。
よく見ると家具の種類や配置までもが変わっている。
恐怖が私の体を支配した。
私の名前は田中。
急いで外に出て見ると、表札には鈴木と書いてあった。

タイトル:【見知らぬ女】


【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

講義室の机の中に、謎の履歴書が見つかった。
それは、自己PR欄の1行目のみ、『あ』で埋め尽くされていた。
余白には、32×10=320という、謎の数式。
それ以外は全て空白だった。
発狂した就活生による奇行か?
あるいは、何か明確な理由があるのか?
真相が判明したその時、〝彼〟は死を望んだ。

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