140字小説 Vol.36

オロチ先輩ってどうしてオロチなんて渾名なんだろう?苗字が蛇沼だからかな?
「実はそれだけじゃないんだ」
「何か由来があるんですか?」
「アイツ、サークルの女子に手を出しまくって、八股してた時期があってさ」
「…ヤマタノオロチ」
「きっちり懲らしめてやったよ」
「流石です、スサノオ先輩」

タイトル:【サークル内古事記】


「先週俺のチャリのサドル盗んだ奴、絶対許さねぇ…」
「サドルくらい、大した値段じゃねぇだろ」
「立ちこぎして帰ったんだけどよ…信号待ちでつい腰下ろしちゃってさ」
「!?」
「絶対、犯人にも同じ目にあってもらう」
俺がサドル差込口と同じ太さのバイブを取り出すと、友人は一目散に逃げた。

タイトル:【早すぎた卒業式】


LINEの〝誤送信防止機能〟は、正直邪魔だ。
今までの文脈を読み込み、不自然と判定したら確認メッセージを表示する仕組みらしいが、設定の消し方がよくわからんので放置していた。俺は今、それ所じゃないんだ。悩みに悩んだ末、彼女に『別れよう』と打ち込んだ。

『本当に送信してよろしいですか?』

タイトル:【躊躇】


俺は気まぐれに〝鉄道忘れ物市〟を訪れてみた。すると、下手な絵の漫画原稿が置いてあった。まさかと思い、手に取って捲って見ると、俺はその場で泣き崩れた。
「大丈夫ですか?」と店員の声。
それは若い頃、出版社に持ち込む日、怖気づいて電車内に置いていった俺の漫画だった。
「これ…ください」

タイトル:【夢との再会】


最後のページを捲り、溜息をついた。何度読んでも面白い。でもネットで感想を漁ると、解釈違いばかりだった。

『最後、主人公はサブヒロインとくっついたでしょ?』と指摘する度に『どう読んだらそうなる?』『国語、苦手でした?』『読解力が地獄』『半年ROMれ』と言われて凹んだ。作者、私なのに。

タイトル:【作者も一読者】


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これら140字小説はどのように発想し、どのような工夫を込めて140字以内におさめているのか、pixivFANBOXにて作品毎に解説するコーナーを開設しました。

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