140字小説 Vol.26

「引っ越し先じゃ、飼えなくてな…」
そう言って知人から引き取った犬は、今では家族であると同時に、立派な番犬だ。飼い主以外には誰にでも吠える。
ある日、留守中に我が家に泥棒が入った。愛犬は無事だったが、隣人曰く吠える声は聞こえなかったらしい。
その瞬間、俺は犯人を悟ったのだった。

タイトル:【沈黙が答え】


道端に財布が落ちていた。
俺の中の悪魔が囁く。
「貰っちまえよ…!」
次に天使が囁く。
「無理しないでいいの…貴方は頑張ってる。これは神様からのご褒美なの。だから、貰っていいのよ」
隣の娘が囁く。
「パパ、どうしたの?」
俺は笑顔で答える。
「なんでもないよ。さ、警察に届けに行こう」

タイトル:【本当の天使】


講義室に50歳くらいのオッサンがいた。サボる生徒ばかりの中で、歳とっても大学に入る姿勢に、俺は尊敬の念を抱いていた。「偉いッスね」と初めて声をかけると「今更、勉強が好きになれたんだ」と彼は照れ臭そうに答えた。気合が入った俺は、初めて「優」で単位を取得した。オッサンは覗きで捕まった。

タイトル:【青春の再履修】


「今回は、亀達も本気よ。せめて…この子だけでも…」
「オーキードーキー…」
配管工と姫は、燃え盛る〝桃〟の名を冠した城を背に、脱出ポッドに赤ん坊を乗せ、川に流した。いつか、亀達を倒してくれると信じて。

翌朝…
「おんやぁ?」
大きな桃型ポッドは、川で洗濯をする老婆の元に辿り着いた。

タイトル:【桃太郎の両親】


僕は妻と喧嘩した事が無い。僕がどんなに怒っても、妻はいつもニコニコと笑顔を返す。

ただし、その翌朝は決まって、僕の枕元にクマのヌイグルミが置かれてるんだ。ヌイグルミには、包丁が突き刺さっている。それを見て、僕はいつも妻に謝るんだ。

我が家のクマのヌイグルミは、残り、3つしか無い。

タイトル:【残機】


【長編ミステリ小説 出版中】
価格:250円
読了時間目安:2~3時間

盗撮され、それをネタに脅されている女子高生。
絶望から自殺を図る彼女に、通りすがりの男は言った。
「そのデータ、なんとか出来そうだ」
ハッカーを自称するその男は、有無を言わさず、事態の解決に乗り出した。
男の依頼のもと、集結するハッカー仲間。
女子高生は、次第に期待を膨らませる。
彼らなら、本当になんとかしてくれるかもしれないと。

コメント

タイトルとURLをコピーしました