140字小説 Vol.25

俺は恐怖していた。
お隣のOLさんの部屋から、毎朝7時におぞましい悲鳴が聞こえてくるんだ。
尋ねると「私ホラー映画マニアで…悲鳴をアラームにしてるんです…すみません」と恥ずかしそうに言った。
「今朝の悲鳴は、『死霊のはらわた2』?」
「わかったんですか!?」
それが、妻との出会いだった。

タイトル:【嬉しい悲鳴】


「店長!タチの悪いクレーマーが…」
「なんだって!?」
「なんか…料理が熱過ぎだって超キレてるんスよ」
「任せろ!俺がビシッと言ってやる」
客の元へ向かう。
「お客様。御不満でしたら、代金は結構ですので、お帰りください」
「あぁ!?あのクソ店員が転んで俺の足にスープぶっ掛けてきたんだぞ!?」

タイトル:【熱すぎたスープ】


ホームからお爺さんが転落した。まもなく電車が来る。誰もが狼狽する中、颯爽と線路に飛び降りる男の姿があった。何故か、彼は少し立ち尽くしてから、お爺さんを抱えてホーム下に退避した。
「偉い!」「勇気ある」と称賛を受ける中 男は乱暴に駅員室に連行された。逃げている最中の痴漢だったらしい。

タイトル:【痴漢にも五分の魂】


「で、この問題は…」
「お母さ…あ…先生!」
クラス中に笑い声。
「タケシ君!これで8回目よ?先生はお母さんじゃありません!」
「ご、ごめんなさい…」
タケシ君は真っ赤になって俯く。それでも、タケシの間違いは卒業するまで続いた。

二人が、本当の母子と判明するのは、卒業した後の事だった。

タイトル:【正解】


「見てごらん、この美しい夜景を」
50Fのレストランから見える街並みは、闇に包まれていた。
「…これのどこが美しいの?」
「この景色に至るまでに、どれだけの人が辛酸をなめてきたか…。僕は、この真っ黒な夜景を誇りに思う」
「だから、どうして?」
「わからないか?誰も残業していないんだ」

タイトル:【ホワイト・オフィス街】


【長編ミステリ小説 出版中】
価格:250円
読了時間目安:2~3時間

持ち主を亡くしたTwitterアカウントは、永遠に更新されない。
そのはずだった。
交通事故で亡くなったクラスメートのTwitterアカウントが、ある日、投稿を再開した。
まるで、今も生きているかのように。
調べれば調べる程、他人にも乗っ取りにも不可能なその投稿の数々に、不気味さが増していく。
誰が、どうやって投稿しているのか。
あるいは、本当に、幽霊の仕業なのか。

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