140字小説 Vol.24

郵便が届いた。開くと、ファンからの手紙だった。
『先生の作品を読んで、自殺を思い留まりました。先生は、私の命の恩人です』
こんな手紙をもらうのは一体何年ぶりだろう。涙が溢れて止まらなかった。俺はこの手紙を大切に机の中に仕舞った。そして、庭の柿の木から吊るした縄を解き、捨てた。

タイトル:【命の恩人】


俺は怖いのが大の苦手で、特に後ろに立たれる系が嫌いだ。シャンプー中は、いつ霊が立っててもいいように、不意に後ろにエルボーを繰り出す癖がついた。

野球部の合宿中、浴場でその癖が出てしまい、たまたま後ろに立ってた山田の股間に俺のエルボーが直撃した。

以来、アダ名がゴルゴ13になった。

タイトル:【物理対策】


深夜遅く、やっと晩飯のカップ麺にありつけたかと思えば…急患だ。
帰宅途中、赤信号を渡って車に轢かれた残業帰りの会社員らしい。
看護師は言う。
「いっそのこと、会社に泊まればよかったのに」
俺は答えた。
「せめて、子供の寝顔だけでも見たかったのかもな」
それを叶えるのが、俺の仕事だ。

タイトル:【労働の理由】


女友達のマンションで、3Fから落下して大怪我をした男性が出た。男の手は、なぜか油でヌルヌルだった。
女友達は言う。
「女の一人暮らしって、色々怖いのね」
「そうだな」
「私の部屋、3Fだけどまだ安心できなくて…。ベランダの手すりに油を塗ってみたの。そしたら、こんな事になるなんて…」

タイトル:【Home Alone】


マッチングアプリで検索すると、彼氏を見つけた。腹が立ったので、別人のフリして近づく事にした。
そしてデート当日。来たら全力で殴ってやる。
「よぉ、やっぱお前か」
「…驚かないの?」
「やり取りしてて、お前だってすぐわかってたからな」
私は大馬鹿だ。この一言で、彼を許しちゃったんだから

タイトル:【クズ男の機転】


【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

幸せ絶頂の新婚夫婦。
ある日、夫は家のPCの検索履歴に、有り得ないものを見た。
『夫 殺し方』
嘘だ。何かの間違いに違いない。
そう信じる一方で、日々殺意を増していく検索履歴。
夫はついに、妻にその真実を問いただす事にしたが…。

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