140字小説 Vol.16

横断歩道を渡ってたら、女の子がこっちに手を振ってたので、思わず振り返した。
(あ、これやっちまったパターンだ…)
今更手を引っ込められず、女の子の後ろを歩いてた青年に声をかけて誤魔化した。
「よぉ!どこ行くの?」
「え?映画です…」
「いいね!俺も行くわ!」
こうして、友達が増えた。

タイトル:【Boy Meets Boy】


「なに?喧嘩に強くなりたいだって?簡単さ。まず最初に、相手の脛を思いっきり蹴る。怯んだ隙に、ボディブローを入れて膝をつかす。最後に、キレキレのフックを顎に入れてフィニッシュだ」
「…じゃあ、どうして君は今、保健室のベッドにいるの?」
「今言ったのは、俺がやられた事だからさ」

タイトル:【雑魚】


「歴史の勉強なんかして、生活になんの得があるの?」
と、姉が言う。
「確かに。でも過去から学ぼうという姿勢そのものには、得がある」
「どんな?」
僕は 通算13回ダイエットに失敗している姉のたるんだ腹を無言で指さした。

この後どうなったかって?
僕も、過去から学べない人間だったらしい。

タイトル:【歴史の勉強】


毎回、歴史の期末試験は4択問題のみだ。俺は勝ちを確信した。隣席の秀才に、机のノック数で答えを教えてもらう取引をしてたからだ。1回ならA、2回ならB…ってサインで。
そして試験は終わった。
「おかげで助かったぜ」
「満点間違いなしだ。君もね」
秀才は続ける。
「確か、ノック1回がDだよね?」

タイトル:【0点】


そっか、もうそんな季節か。
『恵ちゃんと付き合えますように!』
拙い字で書かれた去年の短冊を思い出していた。あの子の願いは叶ったのかな。そんな事を思いながら、今年も短冊を眺めていると、見覚えのある字に再会した。
『恵ちゃんが幸せでありますように』
あの子の字は、少しだけ上手になっていた。

タイトル:【願い事】


【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

講義室の机の中に、謎の履歴書が見つかった。
それは、自己PR欄の1行目のみ、『あ』で埋め尽くされていた。
余白には、32×10=320という、謎の数式。
それ以外は全て空白だった。
発狂した就活生による奇行か?
あるいは、何か明確な理由があるのか?
真相が判明したその時、〝彼〟は死を望んだ。

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