140字小説 Vol.12

「この病院 “出る”んだってよ」
入院初日から 隣のベッドの爺さんが脅してくる。
「冗談ですよね…」
翌日 目が覚めると 隣のベッドは空だった。看護師曰く そのベッドの人は既に亡くなっていたらしい。

恐怖に怯えていると 昨夜の爺さんは向かいのベッドでニヤニヤしていた
故人のベッドで悪戯するな

タイトル:【悪戯好きの遠藤さん】


松本さんは週明けに、必ず怪我をして出社してくる。痣、切傷、火傷、凍傷、毒、噛み痕、あらゆる怪我を。スーツ越しでもわかる屈強な肉体を持つ彼は 一体何をしているのだろう。そんな彼が、半年の休職を終えると、今までに無い程の怪我で出社してきた。しかし 何かをやり遂げた、爽やかな笑顔だった。

タイトル:【勇者、松本】


「チッ 腹減ったなぁ」
ノック音が聞こえる。
「おっせぇんだよババア!」
ドアを開けるといつも通り飯が床に置かれていた。今日は紙切れが2つ添えてあった。

1つは『お願いだから、働いて』と震えた字で書かれていた。もう1つは、幼い俺の字でこう書かれていた。
『なんでもママのいうことをきく券』

タイトル:【使い時】


「呪いの140字小説ってのがあるらしい。読んだ人は必ず死ぬ。RTすれば助かるんだ」
「…お前、読んだんだな?」
友人は頷いた。
「早くRTしろ!」
「……その必要は無い」
「まさか…お前…自分が犠牲になって拡散を止める気か?」
「いや、作者のアカウント 貞子@sada_ko_dayoが凍結されたんだ」

タイトル:【貞子の承認欲】


最近、俺のDVが妻に通じない。
俺の暴力は虚しく空を切り、その間、妻の拳は嵐の如く俺の顎と鳩尾と脇腹と股間を穿つ。もう限界だ。隣駅に拳闘ジムがあるらしい。俺はその門を潜った。
「強くなりたいんです」
「…アンタ、町田 恵の旦那さん?」
「なぜ妻の名を?」
「帰んな。DV男に教える拳は無ぇ」

タイトル:【妻の習い事】


【長編ミステリ小説 出版中】
価格:250円
読了時間目安:2~3時間

盗撮され、それをネタに脅されている女子高生。
絶望から自殺を図る彼女に、通りすがりの男は言った。
「そのデータ、なんとか出来そうだ」
ハッカーを自称するその男は、有無を言わさず、事態の解決に乗り出した。
男の依頼のもと、集結するハッカー仲間。
女子高生は、次第に期待を膨らませる。
彼らなら、本当になんとかしてくれるかもしれないと。

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