140字小説 Vol.11

宿題もせず遊ぶ息子に怒り、ゲームは鍵付きの箱に入れた。宿題を済ますまで鍵は開けない。それ以来、息子は必死に勉強した。そして見事にピッキングで鍵を開けられるようになった。思えば、それが奴の最初の〝盗み〟だった。

今や大泥棒となった奴を、俺は止めねばならない。
刑事として、父として。

タイトル:【責任】


何度目かの警備員の巡回を、倉庫の片隅でやり過ごす。夜が明ければ、客に紛れて胸に抱いたこの絵を盗み出せる。しかし、それは未遂に終わるのだろう。ただ一晩、二人きりで見つめ合ったこの夜は、あまりにも素敵だった。これ以上、何を望むことがあるのか。俺は絵を置き、夜明けと共に美術館を去った。

タイトル:【One Night Love】


「クラスに付き合ってる人いる?」
「いるよ」
「え~!誰?」
皆で次々と男子の名前を挙げたけど、結局、全員の名前を言っても「違う」と返された。
「嘘は無しだよ!」
「ううん、嘘はついてないよ」
(あ、女子かな…?)
チャイムが鳴りHRが始まる。彼女の蕩けた視線の先には、担任の姿があった。

タイトル:【クラス内恋愛】


「結婚する奴はみんな暇人だね。本当に夢中になってるもんがあるなら 結婚なんてしてる暇はないんだよ」

きっと彼は夢中になれる何かを見つけたのだろう。
彼が周りから袋叩きにされる一方で、僕は内心 彼の孤高のスタンスに賛美を贈っていた。
孤独死した彼のスマホの中にマッチングアプリを見つけるまでは。

タイトル:【孤独の器量】


昔から人の頭上に数字が見える。
僕の頭上には0がある。
一体なんの数字なんだろう?
殆どの人が0だけど、2や3の人が時々いる。

僕が交通事故で死ぬと、神は言った。
「単位が足りんな。生まれ変わってやり直せ」

昔から人の頭上に数字が見える。
僕の頭上には1がある。
一体なんの数字なんだろう?

タイトル:【人生の卒業要件】


【長編ミステリ小説 出版中】
価格:250円
読了時間目安:2~3時間

持ち主を亡くしたTwitterアカウントは、永遠に更新されない。
そのはずだった。
交通事故で亡くなったクラスメートのTwitterアカウントが、ある日、投稿を再開した。
まるで、今も生きているかのように。
調べれば調べる程、他人にも乗っ取りにも不可能なその投稿の数々に、不気味さが増していく。
誰が、どうやって投稿しているのか。
あるいは、本当に、幽霊の仕業なのか。

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