140字小説 Vol.60

「お前、逆突き以外も使えよ」
空手部でそう言われ続けて2年。それでも俺は逆突きだけを磨き続けた。毎日1000回の逆突きを欠かした事は1度も無い。いつしか俺の逆突きは神速の域に達し、他校からも〝逆突きの池田〟と恐れられた。そして迎えた決勝戦、あり得ないほど美しく、俺の回し蹴りがキマった。

【伏線】


「この部屋だけ家賃が高いのはなぜですか?」
「この部屋は、幽霊がいると評判なので」
「じゃあ普通、安くなりません?」
「例えば、TVが勝手についたり、流行りの曲が流れ始めたり、エアコンが適温で作動したり、明日7時に起こしてと言うと、ラップ音で起こしてくれるそうです」
「アレ○サかな?」

【IoT幽霊】


「先生って、作家になる前は何をされてたんですか?」
「詐欺師です」
「…え?」
「物語って、言ってみれば全部嘘じゃないですか。僕、嘘つくのは得意だったんで。特に、説得力のある背景を捏造するのが」
「え…本当ですか?」
「勿論、嘘ですよ」
先生の腕時計を見ると、パテックフィリップだった。

【嘘の名手】


「HEY彼女!俺で妥協しなぁい?」
「気に入らない」
「…ですよね」
「違うよ。そうやってフザけて、断られても傷付かないよう予防線を張ってるのが気に入らないの」
「!?」
「失敗を恐れないで。ほら、もう1度真剣に言ってみて?」
「…お姉さん、俺とお茶してくれませんか?」
「僕、男です」

【中性的】


なぜ〝休日〟なんて呼び方するんだ?

まるで仕事への充電時間じゃないか。休日こそ本来の人生の時間なのに。オフなんかではない、休日こそオンなのだ。休日を休日と呼んでる限り、労働のための人生は無くならない。来世では、休日が無くなってますように。

破り捨てられた遺書には、そう書いてあった

【休日の無い未来】


【長編ミステリ小説 出版中】
価格:250円
読了時間目安:2~3時間

持ち主を亡くしたTwitterアカウントは、永遠に更新されない。
そのはずだった。
交通事故で亡くなったクラスメートのTwitterアカウントが、ある日、投稿を再開した。
まるで、今も生きているかのように。
調べれば調べる程、他人にも乗っ取りにも不可能なその投稿の数々に、不気味さが増していく。
誰が、どうやって投稿しているのか。
あるいは、本当に、幽霊の仕業なのか。

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