140字小説 Vol.56

「僕、人の未来が見えるんです。貴女の家に盗聴器を仕掛けました」
通りすがりの男は突然私にそう告げると、足早に去っていった。余りに気持ち悪いので、家に警察を呼んで調べて貰った。今日デートだったのに…。

翌日、× ×駅で刃物を持った男が暴れたとニュースにあった。私が向かっていた駅だった。

【見過ごせぬ未来】


朝登校すると、親友は裸足だった。
「…お前もしかして、イジメられてんの?」
親友は首を横に振る。
「じゃあ上履きは?」
「下駄箱、見てないんだ」
「なんで?」
「俺が確認しない限り、チョコが在るのと無いの、2つの可能性が共存するだろう?」
なるほど。
確認したら、チョコは無かった。

【シュレディンガーのチョコ】


最近どういう訳か、20代後半の男女グループの宿泊客が増えている。どれも30人くらいの大所帯だった。旅館側が言うのもなんだけど、大人ならもっと、良い旅館に泊まれるだろうに。気になったので、どういう集まりなのか聞いてみた。
「昔、コロナで行けなかった修学旅行を今、取り戻してるんですよ」

【青春の回収】


「寒いねー!」
「寒いね~」
「雪だねー!」
「雪だね~」
「このまま私達、凍っちゃえればいいのにね」
「どうして?」
「それでね、未来で目が覚めるの。世間の目なんて気にしなくていい、ずっと未来で」
「…いま、こんなに幸せなのに?」
私は手袋を脱ぐと、彼女の手袋も脱がせて、手を繋いだ。

【幸せのかたち】


小・中学校では、運動が出来る奴がモテると知り、俺は必死に体を鍛えた。
高校・大学では、勉強が出来る奴がモテると知り、俺は必死に勉強した。
社会では、金を持ってる奴がモテると知り、俺は必死に稼いだ。
あの世では、生前の徳を積んだ奴がモテると知り、俺は後悔した。

【つみ人】


【pixivFANBOX_カップ麺プランのお知らせ】

1話完結の1~3分でサクッと読める短編オリジナル小説の投稿をpixivFANBOXにて始めました。
これら140字小説の強化版のつもりで執筆しました。
2,3日に1回の更新を目指しています。

ここまで楽しんでいただけた方には、きっとこちらも楽しんでいただけるかと思いますので、お試しいただけると嬉しいです☺

『あなたの命日』というタイトルのYoutube動画があるらしい|方丈 海|pixivFANBOX
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