140字小説 Vol.9

「うわぁん!」
妹ちゃんの泣き声。私が妹のケーキを食べたからだ。後日、お詫びのケーキを買ってきた。後は、妹の帰りを待つだけ。

「おかえり」
「……」
「ケーキごめんね…買ってきたよ」
「!?」
急いで冷蔵庫を開ける妹。
「あれ…ケーキどこ?」
「でもごめん…待ちきれなくて食べちゃった」

タイトル:【追い打ち】


神は俺に言った
「いつに戻りたい?」
「その前に、確認させて下さい」
「何だ」
「私は、何度あなたに時間を戻してもらいましたか」
「384回だ」
「…このまま、私は人生を全うします」
神は頷き 霧散した。
俺はようやく悟ったのだ。
何度繰り返そうと、悔いの無い人生などあり得ないと。

タイトル:【元完璧主義者】


俺はきっと 博打の女神に心底嫌われているに違いない。当たりを引けた試しが無いんだ。
ある日、ボブはそんな俺に組もうと言ってくれた。そしてその夜、俺たちは大勝したんだ。
「一体、どんなトリックなんだ?」
と尋ねる博打仲間に、ボブは答えた。
「簡単だよ。二者択一の博打だけやったんだ」

タイトル:【博打に嫌われた男】


吊り橋効果ってあるだろ?
彼女が欲しい俺は鉄骨渡りってゲームを男女混合で開いたんだ。落ちたら死ぬ、スリリングなゲームだ。目論見通り、参加者はみんなカップルになった。俺以外はな。
「未練は無いな?」神は俺に言った。
「はい」
幸せそうに暮らす友人達を見届けて、俺は天国への階段を昇った。

タイトル:【天国へ至る道】


今日も会社と家の往復を済ませ、夢も希望も無い毎日から逃避するように、ゲームを起動する。
「そういや、川島の奴は夢を叶えたのかな…」

ゲームを全クリし、スタッフロールが流れる。
すると、見覚えのある名前が目についた。

〝ディレクター:川島 一〟

俺は泣きながら、ゲームの電源を切った。

タイトル:【夢の証跡】


【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

講義室の机の中に、謎の履歴書が見つかった。
それは、自己PR欄の1行目のみ、『あ』で埋め尽くされていた。
余白には、32×10=320という、謎の数式。
それ以外は全て空白だった。
発狂した就活生による奇行か?
あるいは、何か明確な理由があるのか?
真相が判明したその時、〝彼〟は死を望んだ。

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