140字小説 Vol.8

私は数学の安藤先生が大嫌いだった。『馬鹿かお前は』が口癖で、いつも反論のしようもなく論理的な事しか言わない。

最後の模試で、志望校判定は”C”だった。いっそ受験を諦めようかと泣いていると、安藤先生は言った。
「馬鹿かお前は。母数的に考えれば最も合格者が多いのはC判定だぞ?諦めるな!」

タイトル:【Cの合格者】


電車で座っていると頭上から、オッサンの声が降り注いだ。
「いい若者が優先席に座るな」
俺は杖を手に取り、俯いたまま答えた。
「すみません、目が不自由なもので…」
すると、オッサンは何も言わず去っていった。
俺は隣のお婆ちゃんに「ありがとうございます」と言って杖を返した。

タイトル:【優先席の死守】


チャイムの音に目を覚ます。
こんな時間に…?
今は…深夜2時だ。
布団の中で怯えてると、ドアを叩く音がした。
「…ケテ……アケテ…」
ドア越しの不気味な声が耳に届く。人ではないのかもしれない。私の恐怖は絶頂を迎え、眠れぬ夜を過ごした。

朝、恐る恐るドアを開けると、酒臭い父が寝ていた。

タイトル:【The Lost Key】


気のせいじゃない。
バス停が、日に日に俺の家に近づいてくる。
毎朝、1mほど近づいている。
一体なんなんだこれは?
ある日、バス停が一気に元の位置に戻されていた。
その朝、バス停まで歩くと、お隣さんがいた。
その意気消沈した顔を見て、察した。
犯人はお前か。
バス停までくらい、ちゃんと歩け

タイトル:【近づいてくるバス停】


「私の彼ってアメフト出身なのね」
「うん、筋肉に惚れたって言ってたね」
「でさ、前にデートしてたら、ヤクザっぽい人に絡まれたの。そしたら彼、言われるままに土下座して…幻滅しちゃった」
「彼氏、格好良いね」
「ハァ?どこが?」
「男のプライドを殺してでも、アンタの安全を優先したんだよ」

タイトル:【矜持より大事な人】

【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

男は、一人暮らしの女子大生を、ノートPCのWEBカメラから覗いていた。
女子大生がシャワーを浴びている間に、突然、包丁を持った強盗が侵入してくる。
彼女を救わねば。
しかし、自分の盗撮がバレるわけにはいかない。
一体どうやって、盗撮がバレる事無く、彼女に危機を知らせる?
葛藤する男の目の前で、強盗は突如、カメラの向こうでその姿を消した。
まるでイリュージョンでも見ているかのような謎に、盗撮犯である男は、ひたすら困惑する。
そして、自身に降り注ぐ悲劇を以て、その真相を知る事になる。

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