140字小説 Vol.44

この大きな廃病院は、僕1人には寂し過ぎる。
TVで紹介されてから、ここは肝試しの聖地になった。その結果、友霊はみんな憑いていってしまった。今では、ここの幽霊は僕1人だ…。

ロビーから音がする。またTVの特集なのか、霊媒師風の男が言った。
「感じます…ここには、無数の霊が蠢いていますね…」

タイトル:【そして誰もいなくなった】


俺は将棋の真剣師だ。
要は、金を賭けて勝負するならず者だ。時には命だって賭ける。

ある日 プロ棋士と対局する事になった。
「命も賭けた事ねぇ甘ちゃん共にゃ負けねぇよ」
「はは…私達プロは命なんて賭けませんよ」
プロ棋士から笑みが消えた。
「命より重いモノを懸けて、日々戦っているのです」

タイトル:【かける者達】


「マッチ…いりませんか…」
マッチ売りの少女に、淑女が声をかける。
「マッチくださります?」
「はい!おいくつをご希望ですか?」
「30前後で」
「では、こちらへ」
少女は淑女の手を引き 待合室へと連れて行く。そこには1人の紳士がいた。
「どうぞ、ごゆっくり」
そして少女は街道に戻っていった

タイトル:【マッチング少女】


「博士。進化したポケモンを、元に戻す事は出来ませんか?」
「残念じゃが、それは不可能じゃ。なぜそんな事を聞く?」
「…ヒトカゲからリザードンって、大分、大きくなりますよね」
「そうじゃな」
「ピカチュウを抱っこしていると、リザードンが時々、羨ましそうな目でこっちを見ているんです」

タイトル:【進化の代償】


息子がonlineゲーム中毒になった。叱るよりも、まず子供の目線に立つべきかと、私も始めてみる事にした。

その甲斐あって、息子のオンゲー中毒は改善された。息子曰く「自分の姿を、客観的に見れたから」らしいが、今やそんな事はどうでもいい。向こうの世界で今日も、仲間達が私を待っているのだ。

タイトル:【子供の目線】


【短編ミステリ小説 出版中】
価格:120円
読了時間目安:10~15分

講義室の机の中に、謎の履歴書が見つかった。
それは、自己PR欄の1行目のみ、『あ』で埋め尽くされていた。
余白には、32×10=320という、謎の数式。
それ以外は全て空白だった。
発狂した就活生による奇行か?
あるいは、何か明確な理由があるのか?
真相が判明したその時、〝彼〟は死を望んだ。

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